相談員の声(広報誌2020年春号Vol.55)ピックアップその6

~えーる~(相談員ネーム:美多民代)

 「殺す!殺すしかないだろ!」

 その激しさに焦り、必死の会話は熱を帯び、平行線になりケンカ別れとなった。

 大失態のキワミ……研修で教わった傾聴や共感など、どこへやら、だったのだから。

 相談員研修はかなり前の事であり、ほとんど忘却の彼方となったが、今でも忘れられない言葉がある。長年相談員を勤められたご婦人の「多くのものをいただきました」である。当時の私は相談員未経験であり、スッキリしないものが残ったゆえの記憶と思われる。

 ある日、受話器を取ると「俺、何とかやれてます……あなたは必要だ……これからも続けてください……いろんな人たちのために」何というエールか!あの彼が。人は捨てたものではないのだ。良くも悪くも様々な相談を受けて、私もかつての女史のように、「多くのものをいただいた」のです。

 

※掲載の内容は「いのちの電話」に対しご理解を深めていただくための目的で、電話相談を一般化したものです。事実を伝えるものではないことを、お断りしておきます。

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