- 視点シリーズ12
- 国・県の自殺対策をめぐる最近の動き
福島県保健福祉部参事兼障がい福祉課長 安海 好昭
1 福島県の自殺の現状
人口動態統計によると、楓島県の自殺者数は平成10年に500人を超え、平成18年には618人となりましたか、平成19年589人、平成20年535人と2年通続で減少しました。
しかし、平成20年9月以降、リーマンショックによる経済情勢の悪化などにより、平成21年1月からは前年と比べ大きく増加している状況にあります。
平成20年・21年1月~8月までの人口動態統計 自殺者数
平成20年① | 平成21年② | 増加数①-② | 増加率% | |
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全国 | 19,858人 | 20,838人 | 980人 | 4.9% |
福島県 | 361人 | 413人 | 52人 | 14.4% |
※数値は概数
2 国の自殺対策
全国の自殺者数は、平成10年以降11年連続で3万人を超えており、さらに現下の厳しい経済情勢から今後も増加することが危惧されています。
このため、国では今年度、緊急経済対策の一環として地域自殺対策緊急強化交付金制度を創設し、「地域における自殺対策力」の強化のため各都道府県に交付することとなりました。
各都道府県では、この交付金を基金とし、市町村へも補助することにより、国が提示した下記事業を実施して、自殺対策に取り組んでいるところです。
《地域自殺対策緊急強化交付金》
国の予算額 | 100億円 |
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基金事業実施時期 | 平成21~23年度までの3年間 ※交付金を「地域自殺対策緊急強化基金」として、各都道府県・市町村で実施。 |
都道府県や市町村への補助率 | 10/10 |
事業メニュー | ①対面型相談支援事業 ②電話相談支援事業 ③人材養成事業 ④普及啓発事業 ⑤強化モデル事業 ※実際に行う事業内容は、都道府県や市町村が地域の実情を踏まえ選択する |
また国では、自殺対策緊急戦略チーム(自殺対策を担当する政務三役と有識者により構成)において、平成21年11月27日に「自殺対策100日プラン」
(自殺が増加する3月を「自殺対策強化月間」としキャンペーンを展開する等)を取りまとめ、年末及び年度末に向けての緊急対策等の提言を盛り込み、関係省庁及び関係団体等に対し必要な協力を要請しています。
3 福島県の自殺対策
福島県では、平成19年12月に策定した「福島県自殺対策推進行動計画」に基づき、県の重点事業として対策を進めています。さらに今年度からは福島県の自殺対策のイメージカラーを「オレンジ色」、キャッチコピーを「きづく つなぐ まもる」とし、相談支援体制、普及啓発、人材育成、市町村や民間団体への支援等をさらに強化し実施しています。
今年度から新たにスタートした主な事業については以下のとおりです。
①相談支援体制の強化
平成21年9月から精神保健福祉センター内に自殺関連の専用電話「こころの健康相談ダイヤル」を設置し、専門職員が電話相談に対応しています。
なお、この電話は、国が設置している全国共通の電話番号「0570-064-556」となっています。
また、自殺予防のゲートキーバーを養成するため、各保健福祉事務所において地域のリーダーを対象とした研修会を実施しています。
②関係機関との連携
自殺の原因となっている経涌・生活問題の関係部署との連携が不可欠であることから、これまで自殺対策推進協議会や実務担当者との事例検討会、多重債務相談と心の健康相談の併設等により連携をとってきましたが、さらに今年度は、年末のハローワークにおいて生活相談や心の健康相談を併設するワンストップサーピス等の実施により、福島労働局との連携強化を図っています。
③普及啓発
9月及び3月を福島県自殺対策強化月間とし、県民が命の大切さと共に自殺予防・心の健康についての理解を得られるよう講演会や街頭キャンペーン等を実施しています。
④市町村や民間団体への助成
市町村や民間団体に対する補助金こよリ各市町村や民間団体の自殺対策強化を図っています。
~お知らせ~
この会報をご覧の皆様も、ぜひこの機会に、自分自身の心の健康について振り返り、自殺の危険を示すサインや危険に気づいたときの対処方法について確認をしてみませんか!
心の健康や自殺に間する情報は、県精神保健福祉センターのホームページに詳しく掲載されています。↓
http://www.pref.fukushima.jp/seisinsenta/top2.html