コロナで自殺者8千人増
20代女性最多、経済影響か
2020年3月から今年6月にかけ、新型コロナウイルス感染症が流行した影響により国内で増加した自殺者は約8千人に上るとの試算を東京大などのチームが17日までにまとめた。最多は20代女性で、19歳以下の女性も比較的多かった。チームの仲田泰祐・東大准教授(経済学)は「男性より非正規雇用が多い女性は経済的影響を受けやすく、若者の方が行動制限などで孤独に追い込まれている可能性がある」としている。
政府の統計から20年と21年の自殺者数はいずれも約2万1千人で、18、19年より多かったことはわかっていたが、新型コロナの影響の規模は明確ではなかった。
日本では失業率が上がると自殺者が増える傾向にあり、経済的困難が要因の一つと考えられている。チームはこれまでの自殺者数の推移や失業率の予測などを基に、新型コロナが流行しなかった場合のこの期間の自殺者数を推計。実際との比較の結果8088人増えたと試算した。
年代別では20代が1837人と最多で、この年代の自殺者の約3割を占め、新型コロナの影響の大きさをうかがわせた。女性は1912人、男性は745人だった。19歳以下でも約2割に当たる377人に上り、このうち女性は282人だった。人とのつながりが少なくなると孤独を苦にした自殺が増えると言われており、チームは行動制限の影響もあるとみている。
政府の統計で国内の自殺者は10年以降、毎年約5百~3千人ずつ減り続けてきたが、20年は11年ぶりに増加に転じ、21年は微減したもののほぼ横ばいだった。男性は12年連続で減少する一方、女性は2年続けて増加。小中学生は20年に過去最多の499人に達し、高止まりが続いている。
(2022.8.18付民報新聞より)